私が今の仕事を始めた当時は、とにかく売上を上げることが第一という風潮がありました。価格競争に巻き込まれることも日常的で、安い金額の仕事でも時には赤字覚悟で受注することもめずらしくありませんでした。もちろん、そのような状況の中でも利益を出していかなければなりません。結果、受注量は増え比例して労働も大幅に増えました。そして起こったことは、慢性疲労やストレスによる集中力・モチベーションの低下で業績にも大きな影響を与えました。これは目先の売上にばかり気を取られ過ぎて、本来やるべき業務改善を後回しにした結果で、多くの会社に共通する社会問題でした。

こうした背景から、働き方改革により法律で労働時間の上限規制が定められて今までのように予算のことばかりに目を向けていられなくなりました。これからは売上と利益の金額と同じくらい、労働時間の数字を意識せざるを得ない状況になっています。受注金額、受注量に加えて労働時間のバランスを考えてうまく調整すること。特に、限られた労働時間で最大の成果を出すための業務改善について考えることが求められています。

世の中は変化し続けていて、私たちは常に新しい課題を与えられています。最近はその変化のスピードが早くなっているだけでなく、とても複雑で複合的に色々なことが絡み合った課題解決が求められています。これからは会社のトップの強いリーダーシップだけでなく、組織全体で協力し合いながらこの変化に適応していく必要性を強く感じています。そのために必要なことは、社員同士お互いを信じることではないでしょうか。持続可能な社会の実現とは、信じることの連鎖だと私は考えています。他人は自分ではないので程よい距離感を保ちつつ、社員一人一人が、「何のために自己実現をしたいのか」を考える。そして言葉で人をつないでいくことを積み重ねていくことで、会社の未来は創られていく。会社の未来は、社会の未来です。私たち日新工業はそんな未来を描きながら、会社はもちろん、社員やその家族にとっても、気持ちの良い循環が生まれる、風通しの良い明日を創ります。